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懸想文

国語講師 吉田裕子のエッセイ、歌舞伎観劇メモ、古典作品や長唄・端唄の現代語訳など

2「春日野は雪ふりつむと見しかども生ひたるものは若菜なりけり」(和泉式部集)

『和泉式部集』2番春日野は雪ふりつむと見しかども生ひたるものは若菜なりけり(かすがのはゆきふりつむとみしかどもおひたるものはわかななりけり)春日野 ー 奈良の春日野のこと。和泉式部が実際に目にした光景とは考えにくい。紀貫之「春日野の若菜摘みに…

4「春はただわが宿にのみ梅咲かばかれにし人も見にと来なまし」(和泉式部集)

『和泉式部集』4番春はただわが宿にのみ梅咲かばかれにし人も見にと来なまし(はるはただわがやどにのみうめさかばかれにしひともみにときなまし)宿 ー 家の歌語かれにし ー 「離れにし」と「枯れにし」の掛詞。訳す上では「離れにし」の意で、「梅」と「枯…

152「偲ぶべき人もなき身はあるうちにあはれあはれと言ひや置かまし」(和泉式部集)

『和泉式部集』152番世の中はかなかきこと聞きて偲ぶべき人もなき身はあるうちにあはれあはれと言ひや置かまし(しのぶべきひともなきみはあるうちにあはれあはれといひやおかまし)死んだって、偲んでくれそうな人もいないわたくしですから、生きているうち…

162「ともかくも言はばなべてになりぬべし音に泣きてこそ見せまほしけれ」(和泉式部集)

『和泉式部集』162番 歎くことありと聞きて、人の「いかなることぞ」と問ひたるに ともかくも言はばなべてになりぬべし音に泣きてこそ見せまほしけれ (ともかくもいはばなべてになりぬべしねになきてこそみせまほしけれ) なべてに ― 平凡に、普通に ぬべし…

161「立ちのぼる煙につけて思ふかないつまた我を人のかく見む」(和泉式部集)

『和泉式部集』161番 また、人の葬送するを見て 「立ちのぼる煙につけて思ふかないつまた我を人のかく見む」 (たちのぼるけぶりにつけておもふかないつまたわれをひとのかくみむ) ~につけて ― ~があると、それに関連して 煙 ― 火葬の煙のことと思われる…

78「かづけどもみるめは風もたまらねば寒きにわぶる冬のあま人」(和泉式部集)

『和泉式部集』78番 「かづけどもみるめは風もたまらねば寒きにわぶる冬のあま人」 (かづけどもみるめはかぜもたまらねばさむきにわぶるふゆのあまびと) かづくー「潜く」(海にもぐる)と「被く」(褒美などとして物をいただく)の掛詞 みるめー「海松布…

77「せこが来て臥ししかたはら寒き夜はわが手枕を我ぞしてぬる」(和泉式部集)

『和泉式部集』77番「せこが来て臥ししかたはら寒き夜はわが手枕を我ぞして寝る」(せこがきてふししかたはらさむきよはわがたまくらをわれぞしてぬる)あの人が来て、泊まっているというのに、寒々しい思いをさせられる夜には、自分の腕を枕にして眠るので…

76「下もゆる雪まの草のめづらしくわが思ふ人にあひみてしがな」(和泉式部集)

『和泉式部集』76番 「下もゆる雪まの草のめづらしくわが思ふ人にあひみてしがな」 (したもゆるゆきまのくさのめづらしくわがおもふひとにあひみてしがな) 掛詞:芽―めづらしく 序詞:「下もゆる雪まの草の」が「めづらしく」を引き出している 雪の下に生…