懸想文

国語講師 吉田裕子のエッセイ、歌舞伎観劇メモ、古典作品や長唄・端唄の現代語訳など

八月納涼歌舞伎 第1部「おちくぼ物語」「棒しばり」・第2部「逆櫓」「京人形」感想@歌舞伎座


歌舞伎 棒しばり(Bo Shibari) - YouTube

こちらの映像は、中村勘三郎さんと坂東三津五郎さんが演じた「棒しばり」。

今回の歌舞伎座、八月納涼歌舞伎 第1部では、それぞれの長男である中村勘九郎さん・坂東巳之助さんの共演で「棒しばり」がかけられています。長年 歌舞伎を観ている方は、どうしても、お父さま方を重ねずにはいられないと言います。

イヤホンガイドがなくても分かる、狂言がかりの楽しい舞踊です。

ちなみに、第1部のもう一つの演目「おちくぼ物語」も、戦後に作られた歌舞伎なので、だいたいのあらすじや人物さえ押さえていれば、イヤホンガイド無しで楽しめるかと思います。

日本版シンデレラと言われる古典文学がもとになった古典なので、やはり、見どころの一つは、継母や異母姉妹の意地悪。継母 市川高麗蔵さんや、三の君 中村雁成さんが、「何てことするの!? ヒドイッッッ!」と叫びたくなるような、巧い敵役を演じてくださっています。

おちくぼ姫の実の父(坂東彌十郎さん)は、つかみどころのない、ほんわかとした人で、頼り甲斐はありません。

姫を助けてくれるのは、イケメン貴公子。

ジャニーズ顔の隼人くんのファンの方は、今月の彼の、やり過ぎなほどの王子様ぶりをご覧ください!

ちなみに、平安文学の『落窪物語』とは多少違うところも。

歌舞伎では、ただただ優しく大人しい姫にしなかったことで、中村七之助さんの雰囲気が十二分に生きるお役になりました。

「お許しあそばせ!」良かったなぁ。

落窪物語 (21世紀版少年少女古典文学館 第3巻)

落窪物語 (21世紀版少年少女古典文学館 第3巻)

 

そのまま第2部に突入。「逆櫓」では、改めて、中村橋之助さんの時代物の似合いぶりに魅せられました。

そして。


二代目中村七之助写真集

二代目中村七之助写真集