懸想文

国語講師 吉田裕子のエッセイ、歌舞伎観劇メモ、古典作品や長唄・端唄の現代語訳など

赤坂大歌舞伎(中村勘九郎・中村七之助 兄弟の『操り三番叟』『お染の七役』熱演) 感想

開催が発表されて以来、ずっと楽しみにしていた「赤坂大歌舞伎」。千穐楽も近付く、23日(水)昼の部を観て参りました。

前日には偶然、11年前の『演劇界』別冊の若手花形歌舞伎特集を入手。勘九郎(当時は勘太郎)さんの記事を読み、テンションを上げて臨みます。



まずは、「操り三番叟」。

前半は、坂東彌十郎さん・坂東新悟さん親子による、松羽目物(能由来の作品)らしい、格式高い舞。新悟さんが舞台に登場した瞬間、「あら、綺麗」という声が周囲から聞こえました。新悟さんは、お父さん譲りの背の高さもあり、女方をつとめるには苦労もあるかと思いますが、私は、彼の、何とも言えない上品な雰囲気が大好きなので、これからもどんどん拝見したいところです。


「操り三番叟」ということで、勘九郎さんの踊りは、人間の動きではなく、操り人形の動き。紐が繋がったか確認するときの動き、紐が絡まってしまったときの動きなど、面白いところがたくさんあります。表情は変わらないのに、勘九郎さんの持つ愛嬌がそこはかとなく感じられ、人形らしい愛らしさを見たように思います。


勘九郎さんが踊るのに合わせて足拍子を踏んだり、絡まった糸をほどいたりする後見役は、中村国生さんなのですが、舞台は本当に息がぴったりだっただけに……

なんて思ってしまうのです(笑)



そして、「お染の七役(正式には「於染久松色読販(おそめひさまつうきなのよみうり)」)。



この前『ウチくる!?』で、市川猿之助さんが「歌舞伎のカラクリは、種を知ったところで、それで感動しなくなるものではない」という趣旨のお話をされていたのですが、まさにそのことを実感する機会となったのが、この「お染の七役」でした。


タイトル通り、中村七之助さんが七役早替わりで出てくるのですが、その早替わりの速いこと速いこと!


ついさっき右に退場したかと思ったら、もう左から別のこしらえで出てくるのです! 声色も、仕草も、キャラクターに合わせて目まぐるしく変わります。


「最後の傘の中のシーン、一体どうやっているのかな!?」

「あの中ならどの役が好き?」


なんて、終演後の会話も弾むこと間違いなしの楽しいお話でした。



大阪 阿弖流為は観に行けませんが、平成中村座にはお邪魔する予定です! 楽しみ\(^o^)/