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懸想文

国語講師 吉田裕子のエッセイ、歌舞伎観劇メモ、古典作品や長唄・端唄の現代語訳など

【ネタばれ】ワンピース歌舞伎(スーパー歌舞伎Ⅱ『ONE PIECE』) サンジ・ボンクレーが評判 主演:市川猿之助さん

ワンピース歌舞伎、行ってまいりました!!

 

onepiece-kabuki.com

 

様々な挑戦を重ねるスーパー歌舞伎スーパー歌舞伎Ⅱの中でも、今回の「ONE PIECE」は、大胆な挑戦の作品だと思うのです。

 

何と言っても、累計発行部数3億部を超える、少年マンガの中で最も人気のある作品なんですから……! 歌舞伎の公演が、歌舞伎ファンではない方々からもこれだけ注目を集めるということは、なかなかないように思います。

 

座頭の市川猿之助さんも、「賛否両論あってこそ本物」と語っていらっしゃいますが、出演者のお一人、市川笑野さんも、このようにおっしゃっています。

 

 

そんな挑戦作だからこそ、自分自身の目でできるだけ早めに目撃(この言葉が一番しっくり来ます)したくて、自分のスケジュールが合う限りで最速の、10/8(木)昼の部にお邪魔してきました。

 

以下、備忘録として、感想など。

 

※細かいところまでは目が行き届いていないかとは思いますが、それでも、色々とネタばれを含んでいるかと思いますので、新鮮に舞台をご覧になりたい方は、ご覧にならない方が良いかと存じます。

※原作は、15巻までしか読んでおらず、今回の舞台に当たる部分はまだ読んでいないため、原作をしっかり読んでいる方からすると違和感のあることも書いているかと存じますが、ご了承くださいませ。

 

 

四代目 市川猿之助

四代目 市川猿之助

 

 


十月昼の部は中村七之助さん、十月夜の部は中村勘九郎さんによるナレーションから、舞台は始まります。そして、シャボンディ諸島のオークションから、実際のお芝居がスタート。入札の声が、客席のいろんなところにあるスピーカーから聞こえ、早速、作品世界に巻き込まれていく感じがしました。

ここで、背中の刻印が奴隷の証であることを印象付けます。そこで売買の対象となる人魚ケイミー(市川猿珠さん)が実に儚く、美しい感じで、今回のこしらえの素晴らしさの片鱗を早くも見せ付けられました。

 

そして、ルフィを除いた麦わら一味が登場。

 

 

最初の登場時、しばらく花道で止まるため、花道のすぐ横の皆さんからは、うっとりとため息。

 

ここからしばらくは、ウソップやロビンによる状況説明を挟みながらの進行でした。

 

 

ゾロやサンジなどがほぼ原作通りのこしらえの中、着物姿のナミには、違和感を持った人も多いのでしょうが、私は、春猿さんの演じるナミが、とてもお気に入りのキャラクターになりました。きっぷのいい姉さん、という感じ。ご本人のお話の通りかと。

 

原作とは違うけれども、やはりナミだな、サンダーソニアだなというものが、どこか匂ってくるようにしなければいけない。そこは、女方の色々な技術を駆使して、乗り切っていくしかないだろうと思っています。(筋書より)

 

全編通して見た後でも鮮明に記憶に残っているお気に入りのシーンが、「白浪五人男」の鎌倉稲瀬川の場をもとにした、麦わらの一味の名乗りの場面。河竹黙阿弥のような七五調の名乗りが格好良い……!(チョッパーの腹話術(byウソップ)には笑ったけれど……!)

京都南座の三月花形歌舞伎(ゾロ 巳之助、サンジ 隼人らが出演)で、ちょうど、「白浪五人男」を観ていただけにテンションが上がりました。

 

(他にも、白ひげの最期は「義経千本桜 『碇知盛』」のイメージ。随所に、古典歌舞伎のエッセンスを感じられます。)

 

にしても、中村隼人さん演じるサンジが、とにかく格好良いのですよ。巳之助さんのゾロといい、隼人さんのサンジといい、やはり、原作に思い入れのある若いメンバーが、キャラクターの格好良さを体現しようと意気込む姿が、実に良かったです。

 

 

サンジがタバコの煙を吐き出す姿がいちいち格好良いのですが、イケメンの代表的しぐさ=お姫様抱っこの場面では、黄色い歓声が上がっていました(笑)

 

 

……と、お芝居の流れを追ってまとめていこうかと思っていたのですが、ここまでで全体の6分の1くらいで、膨大になってしまいそうなので、あとは全体的な印象などを(;'∀')

 

 

ニュースは、座頭たる市川猿之助さんの映像が中心に報じられていますが、舞台を見て印象に残ったのは若手のメンバーで、市川猿之助さんのルフィには最後の最後まで違和感の方が大きかったのです。

それは、ONE PIECEの原作自体への思い入れの違い(猿之助さんは原作を読んでいない)かもしれませんし、猿之助さんが後進のために見どころを譲ったからかもしれません。

そもそも、ONE PIECE原作のルフィという天真爛漫なキャラクターと、歌舞伎の演技の相性の問題かもしれません。(同じ猿之助さんが演じた女方のハンコックには、違和感が少なかったので……。)

 

 

そんな出過ぎたことを書きつつも(猿之助さんファンの方、猿之助さんルフィが気に入っている方、すみません)、公演を重ねるにつれ、猿之助さんのルフィが覚醒することも楽しみで仕方ありません。

10月末にもう1度、そして、3月の大阪松竹座にも行く予定なので、期待に胸を膨らませております!!

 

www.kabuki-bito.jp


全体は休憩(30分、25分)を含め4時間半以上あります。幕間はグッズ購入やお弁当(客席やロビー、事前予約をすれば食堂で食べられます)に当てると良いかと思います。

第1幕・第3幕には、少し間延びしていると感じた場面もありましたが、twitterなどで観劇レポートを見ている限り、それも、日を追うごとに改善されているようです。(日々進化するところも歌舞伎の舞台の面白さですね。)

 

とにかく! 第2幕の巳之助ボン・クレーと隼人イナズマ、そしてニュー・カマーの面々を見ていただきたい! 楽しい! そして格好良い!(本水での立ち回りは、事前に知っていても感激します。)

 

 


RUAN/TETOTE(歌舞伎版「ワンピース」 主題歌) - YouTube

 

客席が一体となって、手拍子をしたり、歌ったりする。そんなワンシーンもありました。固定の大向こうさんが「◎◎屋!」と声をかけるだけの普段の歌舞伎とは、だいぶ違う感覚で、とても楽しいです。

 

歌舞伎のジャンルに、「荒事」「和事」と同じように、「スーパー歌舞伎」が刻まれていくことが楽しみです。

 

そして。市川染五郎さん・中村勘九郎さん・中村七之助さんの挑戦「歌舞伎NEXT」も。