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懸想文

国語講師 吉田裕子のエッセイ、歌舞伎観劇メモ、古典作品や長唄・端唄の現代語訳など

写真集『四代目 市川猿之助』 感想など

ワンピース歌舞伎など、乗りに乗っている四代目 市川猿之助さん。この10月、豪華な写真集が発売されました!


四代目 市川猿之助

四代目 市川猿之助



税込3,780円ということで、一瞬躊躇したのですが(苦笑)

猿之助さん本人の「現代版役者絵」という望み通り、役や役者の“気”を静止画に封じ込めた迫力の写真が多数。 

2002年から2012年まで開催していた「亀治郎の会」や地方公演の写真が中心です。(ですので、近年の写真ではありません。)


なお、この写真集におさめられているのは、舞台中の写真ではありません。舞台前後に、舞台裏や楽屋で、出の前後に撮ったもの。写真家の長塚誠志さんは「“気”を写したい」との想いから、その撮影方法に至ったそうです。


写真を見ていて驚くのが、猿之助さんの、跳躍の美しさ。ありえないほど高く跳んでいるのに、細部まで見え方が制御されているように思えます。

そして、とにかく女方の写真が素敵で……


  • 仮名手本忠臣蔵の小浪
  • 傘を持つ鷺娘
  • 源氏物語の葵上
  • 神霊矢口渡のお舟
  • 鳴神の雲絶間姫
  • 奥州安達ヶ原の袖萩
  • 一本刀土俵入のお蔦
  • 夏祭浪花鑑のお辰
  • 檜垣の老女

挙げ始めたらきりがありません。何てすてきなんだ……!!

そんな女方の写真の中でも、2010年 御園座で『男の花道』を上演した際の女方役者 加賀屋歌右衛門の写真が1番のお気に入りです。この5月、明治座猿之助さんの『男の花道』を見たこともありまして。見開き右ページの、この笑み!

そして、女方以外では、「操り三番叟」の写真が印象に残っています。こちらは今年、右近さん、勘九郎さんで2度観る機会があったのですが、猿之助さんバージョンも、いつか見てみたいですねぇ。



そして、「写真集」と思って買った本に、亀治郎時代のエッセイ(新聞連載)が、16本も載っていて、思わぬ喜びでした。

ここ最近の私のテーマは「心わくわく、ピカピカ」。自分が最高に楽しんでいる姿こそが、きっと人々の心を打つということを信じて

歌舞伎が伝統に胡座をかくならば、歌舞伎は滅びてもいいと思う

古典といわれるものは、いわば、それと向き合う者の成長を映し出す鏡のようなものである

など。


1月、宮沢りえさんらも出演される中、猿之助さんが女方で挑む舞台「元禄港歌」を控えている中で、

歌舞伎役者として訓練を受けた自分の演技法が、果たしてどこまで共通言語たりえるのか。

という言葉は、印象に残りましたね。



ちなみに、猿之助さんは「長塚氏は写楽を遙かに超えていると思う」とおっしゃっています。

そして、長塚さんは、猿之助さんを「創造の神と歩く冒険者」と呼んでいます。

そんな、互いにワクワクできる2人が、一緒に仕事をし、素晴らしい成果を生み出している。奇跡的なめぐり合わせだと思いますし、その奇跡の恩恵にあずかれて幸せです。