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懸想文

国語講師 吉田裕子のエッセイ、歌舞伎観劇メモ、古典作品や長唄・端唄の現代語訳など

大阪松竹座 昼の部は多彩で楽しい出し物(2016年1月壽初春大歌舞伎の感想)

歌舞伎観劇 片岡愛之助 中村壱太郎 中村扇雀 鳴神 市川中車 落語由来の演目
 
2016年の初芝居は、大阪松竹座にいたしました。
 
 
三重の実家から駆け付けたので、鏡開きには間に合わなかったのですが、初日記念のステッカーをいただいたり、艶やかなお着物のお客様の多い中で過ごしたりすることで、お正月芝居の華やかな雰囲気を味わうことができました。
 
昼の部は「鳴神」「枕獅子」「らくだ」。役者の人数が少なくても回せるお芝居を中心に組んだのかな、という印象。中心となる片岡愛之助さん・中村扇雀さん・中村壱太郎さん・市川中車さんは様々な演目で大活躍です。
 
 
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壱太郎さんの絶間姫、お美しい……愛之助さんの生真面目な鳴神上人がいかめしい表情をして妻になるよう迫るところを「なるわいな」と受けるところのコケティッシュな感じ! 日数を経たら、ますます悪女になりそう(笑)

ちなみに、この演目別ポスターは2,500円で販売しておりました。

「形見こそ今はあだなれ」
「見渡せば柳桜をこきまぜて」
「見ずもあらず見もせぬ人の」
と、『鳴神』の台詞には『古今和歌集』を基にしたセリフが多く見られました。そもそも、一角上人など、中国の伝説も踏まえた作品でもあり、古典好きの私としては、江戸時代の古典享受を垣間見るようでワクワクしてしまいます。
 
 
 
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『枕獅子』。緞帳が上がった瞬間、牡丹のあまた描かれた金襖。右(上手)には三味線、左(下手)には鳴物の皆様が賑やかで、新春にふさわしい華やかな舞踊です。扇雀さんの傾城 弥生のお着物も、大柄のぼたんが艶やか。

寄せては返す浪枕 定めなき世の中々に 誠をあかし恋の闇 忍ぶ枕や肘枕 思いぞ籠もる新枕 とんと二つに長枕

 
こんな枕づくしの歌詞をはじめ、長唄でも、振付でも、悩める遊女の心理が描かれています。それをイヤホンガイドで「心の痛みを飼いならしながら」と紹介していたのが印象に残っております。

”獅子”と銘打たれた演目ですので、後半には毛振りがありますが、連獅子などで見る、気迫に満ちた力強い毛振りとは少し違う、女らしい雰囲気を残したものであったように感じました。
 
 
 
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今回の大阪松竹座では、市川中車さんが落語をもとにした演目2つで大活躍。

今回は、愛之助さんと「らくだ」、扇雀さんと「芝浜革財布」。玉三郎さんとも「牡丹灯籠」をやっていらっしゃるし、こうした、落語由来の世話狂言で欠かせない役者さんになっていく(なっている?)んだろうなぁ、と。

この中で二回歌われる「カンカンノウの歌」では、客席も手拍子で参加。歌舞伎は、昼の部・夜の部、それぞれ3~4の演目で番組を組むのですから、1つくらい、こうした肩肘張らずに見られる演目があると、機嫌良く帰れて良いなぁと思いました。