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懸想文

国語講師 吉田裕子のエッセイ、歌舞伎観劇メモ、古典作品や長唄・端唄の現代語訳など

安田靫彦展@東京国立近代美術館

美術館 日本画 安田靫彦
東京国立近代美術館で開催されていた(〜2016/5/15)、安田靫彦展にお邪魔してきました。


ミーハーでお恥ずかしいのですが、日曜美術館 - NHKの「安田靫彦 澄み切った古を今に刻む」を拝見したのが、展覧会を見に行くキッカケです。

90代まで描き続けた安田靫彦さんの人生、そして、「夢殿」という作品の聖徳太子像に魅了され、ぜひ彼の作品をたくさん見たいと思いました。

16歳で描いたという「静訣別之図」。静御前の表情がとても好きでした。シンプルな線を重んじ、仏教絵画のような表情の人物を好んだ彼ですが、若い頃は写実的な画風なので、表情が印象に残ります。

それは、廃物派の物部守屋の厳しい眼光を描いた「守屋大連」も同じく。(本人はのちに、あの作品は写実的過ぎる、と悔いたようですが。)


テレビで目にしたときから虜だった「夢殿」を見られて幸せでした。女性たちの、非日常的な上品な美しさもさることながら、瞑想する聖徳太子のすっきりと美しいたたずまい。あの、繊細なまつげの感じを間近で見られたのは僥倖でした。

「松風」「小野小町」の髪の毛といい、安田靫彦さんの、繊細な描線の美しさ!


そして、「羅浮仙」の背景などで見かけた、梅の描き方も忘れられません。彼の梅を見ていると、梅に、中国らしい風情をしみじみと。(鑑賞する植物としての梅が日本に広まるのは奈良時代。) 

朝顔」といい、「菖蒲」といい、とにかく植物が素敵なんですよね。特に、「菖蒲」という絵の、葉などは墨で、花の部分だけに色が付いているのも美しかったです。 


富士山好きなので、何点かある富士山の絵も嬉しく鑑賞。

「赤人」の富士はシンプルで、あれだけの表現でも、富士は富士と分かるのだということを改めて思い知りました。

「富士秋霽」も好きでしたが、91歳、入院前の最後の作品「富士朝暾」の金・白・黒の表現が印象に残っています。 


図録が売り切れていたのが、本当に悔しいです。