懸想文

国語講師 吉田裕子のエッセイ、歌舞伎観劇メモ、古典作品や長唄・端唄の現代語訳など

国立劇場『魚屋宗五郎』 2016年6月歌舞伎鑑賞教室 中村橋之助さんの宗五郎、中村梅枝さんのおはま

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6月の初日(6/2)は、中村梅枝さん見たさに国立劇場に行きました〜。

今月は歌舞伎鑑賞教室。中高生たちの文化教室に使われる企画ですが、席が空いていれば、一般の方も入れます。

11:00〜13:10(14:30〜16:40)と、コンパクトな公演。何と、お求めやすいお席は1,500円です^^

 

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10月からの仮名手本忠臣蔵の通し公演のチラシもゲットしました。50周年イヤーということで、大御所による充実した公演が続くのがとても楽しみです。

 

50周年記念公演ラインアップ|国立劇場50周年記念サイト|国立劇場

 

 

さて、最初は、中村萬太郎さんの解説。朗らかにテンション高い感じで、素敵なのだけど、あまりに流暢にながれ過ぎて、拍手のスキもないのがもったいなく思いました(>_<) 見得や演奏が決まった次の瞬間に「という風に……」と回収してしまうのですが、きっと私だけでなく高校生たちも拍手したかったのでは!

 

なお、この萬太郎さんの「歌舞伎のみかた」の中で、中村橋吾さんによる『景清』の荒事の立ち回りが!(結構 唐突に始まります(笑))

さらに、世話物の立ち回りとして『髪結新三』の立ち回りも。片岡千次郎さんと、ニコニコ超歌舞伎でもご活躍の澤村國矢さんの共演です。

 

黒御簾音楽の皆さんが演奏している様子を外で見せていただけたこと、また、スクリーンが出てきて、スライドで登場人物・あらすじの紹介をしていただけたのが新鮮でしたね。 

 

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今月の演目は『魚屋宗五郎』。もともと分かりやすい作品ですが、萬太郎さんの解説もありましたし、国立劇場のウェブサイトには、演者さんに似せて描かれたマンガもあって有難いです。

 

【観劇前の予習に!】マンガで!6月歌舞伎鑑賞教室のあらすじをご紹介 | 独立行政法人 日本芸術文化振興会

 

 

私は『魚屋宗五郎』という演目と、おはまを演じる中村梅枝さんが好きで仕方ないので、本当に幸せな80分間でした。

 

酔って暴れる宗五郎におはまが引き摺られるところではつい笑ってしまうのだけど、その1分後には、宗五郎の花道のセリフで泣いてしまいました。橋之助さんの宗五郎、好きです!

矢でも鉄砲でも持って来やがれ。ヤイ。何だってお蔦を殺した。誰に断って殺した。

 

歌舞伎俳優名鑑 現在の俳優篇 「初代中村宗生」

 

主役の橋之助さんの次男、奮闘する宗生くんの三吉を見ながら、国立劇場の『髪結新三』で橋之助さんが新三、国生くんが勝奴をつとめた月の様子を思い出しました。 

 

そういえば、萬太郎さん(梅枝さんの弟)の「歌舞伎のみかた」で、女形は肩甲骨を寄せて、なで肩にしています」という話があったとき、梅枝さんのなで肩を思い出さずにはいられませんでした(笑) この日も良いなで肩でした。中でも、おはまが宗五郎の半纏を畳むシーンにときめきました。 

 

お屋敷玄関前の立ち回りで、誰かが宗五郎に股間を蹴られて、ぴょんぴょん跳ねていたのについ目が行ったり(笑)、中村芝喜松さんの菊茶屋女房おみつ、市村橘太郎さんの父・太兵衛のつくる場の空気が、お芝居を支えていることをひしひしと感じたりした、そんな時間でもありました。

 

平成28年6月歌舞伎鑑賞教室「新皿屋舗月雨暈(しんさらやしきつきのあまがさ)―魚屋宗五郎(さかなやそうごろう)―」

  

【6月歌舞伎鑑賞教室】 初日を迎えました | 独立行政法人 日本芸術文化振興会