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懸想文

国語講師 吉田裕子のエッセイ、歌舞伎観劇メモ、古典作品や長唄・端唄の現代語訳など

端唄「梅にも春」(歌詞と現代語訳)

端唄「梅にも春」

 

梅にも春の色そえて
若水汲みか 車井戸
音もせわしき 鳥追いや
朝日にしげき 人影を
若しやと思う 恋の欲
遠音(とおね)神楽や
数とりの待つ辻占(つじうら)や
鼠鳴き 逢うてうれしき 酒(ささ)機嫌
こい茶が出来たら上がりゃんせ
(ササもっといで)

 

※『はうた俗曲集 一』(邦楽社)掲載の歌詞の旧かな・旧漢字を新表記に改めた

 (現代語訳) 

梅にも春の訪れが感じられる正月

車井戸で水を汲んでいるのは若水汲みかしら

祝い芸の鳥追いの にぎやかな声も

朝日の中 往来にごった返す人々に

「もしやあの人がいるかしら」と

期待してしまうのは わたしの恋の欲ね

遠くからは神楽の音

通りには数取りの占い師

あら あの人の来た合図の鼠鳴き

逢瀬の叶って嬉しいお酒で すっかりご機嫌

食後の濃茶ができたらお上がりなさいね

(さぁ持っておいで)

 


端唄 梅にも春 H27 101