懸想文

国語講師 吉田裕子のエッセイ、歌舞伎観劇メモ、古典作品や長唄・端唄の現代語訳など

端唄「鶴亀」歌詞と現代語訳

端唄「鶴亀」


庭の砂(いさご)は金銀の
玉を連ねて敷妙(しきたえ)の
五百重(いおえ)の錦や瑠璃の扉(とぼそ) 
硨磲(しゃこ)の行桁(ゆきげた)
瑪瑙(めのう)の橋
池の汀(みぎは)の鶴亀は 
蓬莱山も余所(よそ)ならず
君の恵みぞ ありがたき 

山河草木(さんかそうもく)
国土豊かに 
千代万代(よろづよ)と舞ひたまへば
官人駕輿丁(かよちょう)御輿を早め 
君の齢(よわい)も長生殿に
君の齢も長生殿に
還御(かんぎょ)なるこそ芽出度(めでた)けれ

 

※『長唄 鶴亀』(邦楽社)掲載の歌詞から、端唄で用いる部分のみを抜粋した。歌詞の旧かな・旧漢字を新表記に改めた

(現代語訳)

宮殿の庭の砂としては

金銀の宝玉を敷き詰めて

幾重にもまるで五百重にも重ねられた錦

扉は瑠璃

(橋の)行桁はシャコ貝

橋はめのう

どれも豪華絢爛に飾られて

池の汀には鶴や亀

このおめでたい様子はまるで蓬莱山のよう

帝の恩恵は尊いものだ

 

「山や川、草、木、

 国土すべてが豊かに、

 千年万年と繁栄が続くように」

と帝が舞いなさると

官人駕輿丁は御輿を進めて

帝はその長寿を祝する長生殿に

その名もめでたい長生殿に

立派におめでたくお帰りになった

 

 

端唄「鶴亀」の音源は見つけられず……。端唄のもとになっている長唄「鶴亀」の歌詞全体・音源などは、こちらのサイトに掲載されております。

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