片岡秀太郎さん 上方歌舞伎にかける思い『上方のをんな:女方の歌舞伎譚(しばいばなし)』
関西歌舞伎の低迷期の苦労話(今の片岡仁左衛門さんと、「歌舞伎がやりたい」と泣いた話など)から、「上方歌舞伎塾」や「平成若衆歌舞伎」などの取り組み、後進育成にかける思いなどを語っていらっしゃいます。
読んでいて涙が出てきそうになる一冊なのですが、これは、ご本人のお人柄はもちろん、聞き書きご担当の坂東亜矢子さんの腕前によるところもあるのでしょう。ありがたいお仕事です。
「昔から関西の歌舞伎界は、実力主義といわれてきました。逆に、江戸は血統主義と申しますか、御曹司に大きな役をどんどん演らせて、いい役者に育てていくという継承の仕方ですね」
「関西では今も、実力主義の気風が残っているんですよ。息子の愛之助が、座頭をさせていただいている『永楽館大歌舞伎』の昨年のチラシを見ていて、『上方やなぁ』と思いました。生まれながらの御曹司は、中村壱太郎くんだけ。上方は、血でなく芸でつながっているんですよ。」
三代狂言の女方、また、上方らしい演目の女方について語るページも充実しています!