懸想文

国語講師 吉田裕子のエッセイ、歌舞伎観劇メモ、古典作品や長唄・端唄の現代語訳など

近代文学

2015年、特に素敵だと思った本・音楽

◆2015年に特に素敵だと思った本 何かしらの機会があって人に教えた作品が印象に残っています。 例えば、学校で、高2現代文を担当しておりました。その授業の中で読んだ『こころ』『「である」ことと「する」こと』などは何度も読み込みましたが、そのたびに…

芥川龍之介『俊寛』の読書メモと、その背景にある「俊寛もの」の蓄積

羅生門・鼻 (新潮文庫) 作者: 芥川龍之介 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 2005/10 メディア: 文庫 購入: 3人 クリック: 38回 この商品を含むブログ (88件) を見る 10月の錦秋名古屋 顔見世でも、10月末からの平成中村座でも、『平家女護島 俊寛(へいけに…

太宰治『富嶽百景』から、富士山への評価など

富嶽百景・走れメロス 他八篇 (岩波文庫) 作者: 太宰治 出版社/メーカー: 岩波書店 発売日: 1957/05/06 メディア: 文庫 購入: 3人 クリック: 23回 この商品を含むブログ (29件) を見る 太宰は、その、思春期を引きずったような感受性(今だと「中二病」と評…

(読書メモ)夏目漱石の描く「嫉妬」の生々しさよ――『彼岸過迄』より

彼岸過迄 (新潮文庫) 作者: 夏目漱石 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 1952/01/22 メディア: 平装-文? 購入: 2人 クリック: 39回 この商品を含むブログ (47件) を見る 『彼岸過迄』がセンター試験の題材となったことがある(2008年)。出題されたのは「須永…