『伽羅先代萩』@秀山祭九月大歌舞伎(歌舞伎座 夜の部)の感想 ~めいぼくせんだいはぎ~
9/4(金)、歌舞伎座 夜の部に行ってまいりました。今月の夜の部は、仙台藩 伊達家のお家騒動に基づいて作られた『伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)』。
最上級の香木「伽羅(きゃら)」を「めいぼく(銘木)」と読ませ、「先代」に「仙台」をかけている、歌舞伎らしい名前の演目です。
シリアスなお話の通し上演だけに、見応えは十分。見終わったとき、どっと疲れを感じる緊迫感でした。
この演目がかかる際には“「飯炊き」の場面をやるのか、省略するのか”が問題になるそうですが、今回は、坂東玉三郎さんの熱演のもと、ばっちり上演されていましたよ。
(乳人(めのと)政岡と子役2人だけで長い時間を保たせないといけないこと、また、茶道具を扱う場面があることから、女形の役の中でも演じるのが大変な役どころなんだそうです。)
今日、鶴千代を守る、凛とした政岡(玉三郎さん)を見ながら、あの芯のある強さ(とその後の母としての顔)を出せる、歌舞伎の女形の醍醐味を見た気がしました。 #伽羅先代萩
— 吉田裕子(国語講師) (@infinity0105) 2015, 9月 4
にしても、『伽羅先代萩』の子役ちゃんたち凄いなぁ。出番も長いし、台詞も多いし。シリアスなシーンだから、ちょっとした間違いも問題になるし。それだけに途中から見ていて悲しくて仕方ない(/_;)
— 吉田裕子(国語講師) (@infinity0105) 2015, 9月 4
今月は「秀山祭」という、初代吉右衛門さんを偲ぶ企画です。ということで、中心になるのはやはり、初代吉右衛門さんの実孫で養子の、人間国宝 二代目 中村吉右衛門さんです。
この演目では、実悪(お家乗っ取りなど大きな悪事を企む悪者)の仁木弾正を演じていらっしゃいます。
妖術で鼠に化け、悪事の証拠の連判状を取り返した後の場面「床下」では、白塗りに燕手と呼ばれる鬘。不気味な恐ろしさを発揮していらっしゃいました。
取った席が悪くて(3階の東)、「対決」の場面では仁木弾正がほとんど見えなくて残念でした(^^;;
(これからご観劇の方は、3階西寄りの花道の見えないあたりや、舞台上手の演技が見えない3階東を避けていただくのが得策かと。)
代わりに「対決」の場面で印象に残ったのが、中村歌六さん。ついさっき、平然と子どもを殺す悪女 八汐を演じていらしたのに、「対決」では、藩を懸命に支える、人の善い老臣を演じるわけですから、歌舞伎役者というのは恐ろしい。
この『伽羅先代萩』は、初見の人はイヤホンガイドか筋書きがないとしんどいだろうなぁ……。奥さんだけがイヤホンガイドを借りていた隣の夫妻は、旦那さんがずっと奥さんに内容を質問していた(^_^;)
— 吉田裕子(国語講師) (@infinity0105) 2015, 9月 4
今月はあと、赤坂大歌舞伎と歌舞伎座 昼の部を見にまいります。坂東巳之助さんもいらっしゃる、坂東会にもお邪魔します。楽しみ!