懸想文

国語講師 吉田裕子のエッセイ、歌舞伎観劇メモ、古典作品や長唄・端唄の現代語訳など

2015年の舞台(歌舞伎・狂言)で印象に残ったもの 10選

2015年は、本当に、舞台(主に歌舞伎)をよく観に行きました。どれだけ観に行ったのか、数えるのが恐ろしいくらい……(とはいえ、歌舞伎がお好きな方の中にはもっともっと行っていらっしゃる方も多いかと思いますが。)

 

歌舞伎座新橋演舞場などの公演に加え、関西・名古屋の公演や地方巡業も観に行きましたので(いろいろと強行スケジュールでした!)、記憶に残っているお芝居が本当にたくさんあります。

 

その中で、特に好きだったお芝居を10挙げたいと思います。(この中でさらに順位をつけようとすると迷ってしまって年が明けそうなので、順番には意味はありません。)

 

◆鳴神

三月、京都南座で観ました。中村米吉さんの演じる雲の絶間姫(くものたえまひめ)が、花道から出てきたときの、会場の「きれい……」というジワ感は忘れられません。新春浅草歌舞伎、京都南座を観て、今の二十代の若手たちに対する期待値が一気に高まりました。

 

阿弖流為

七月新橋演舞場。観終わったとき、この作品に携わってくださった方々、一人ひとりに「ありがとうございました」と言って回りたいような思いで胸がいっぱいになりました。現代の脚本ならではのテーマ性と、歌舞伎ならではの様式美と、新感線ならではの迫力ある殺陣と……シネマ歌舞伎がとても楽しみです。

 

◆妹背山婦女庭訓

十二月歌舞伎座。「御殿」で玉様のお三輪。古典歌舞伎であんなに泣いたの初めて。

 

◆ぢいさんばあさん

七月大阪松竹座にて、片岡仁左衛門さんと中村時蔵さんの共演を観ました。これもよく泣きました。鷗外の原作も読んでみましたが、よくこの原案をこうした舞台に仕立ててくださったものだと感激しました。隼人さん・米吉さんの若夫婦もフレッシュで素敵でした。

 

◆女暫

一月に歌舞伎座(玉様)、十月に大阪平成中村座七之助さん)で観ました。豪華で、祝祭感のあふれる演目。大好きです。

 

雪之丞変化

四月、中日劇場に観に行きました。四代目猿之助さんの放つ、圧倒的な《座頭》感。翌月の「男の花道」とあわせ、忘れられません。

 

◆魚屋宗五郎

四月に浅草の平成中村座勘九郎さん&七之助さん)、十一月に巡業の宮城公演(菊之助さん&梅枝さん)で観ました。勘九郎さんと七之助さんの夫婦の微笑ましさ、梅枝さんの(こうしたお役は初めてなのに)板についた女房役が印象に残っております。

 

ONE PIECE

新橋演舞場、十月の間に2回観に行きました。今度は両親を連れて、大阪松竹座にも観に行く予定です♪ 麦わらの一味の挑戦が、澤瀉屋や若手の挑戦と重なって見えて…

 

◆連獅子

七月の巡業、中村扇雀さんと中村虎之介さんの親子共演で観ました。虎之介さんの気迫が忘れられません。

 

楢山節考

こちらだけ狂言の舞台です。十一月、国立能楽堂で拝見しました。野村万作さんのおりんは言葉を発しないのですが、息子の肩を叩くなどの仕草から、息の詰まるような濃密な感情を受け取りました。すごいものを見てしまいました。