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懸想文

国語講師 吉田裕子のエッセイ、歌舞伎観劇メモ、古典作品や長唄・端唄の現代語訳など

いとしの儚(劇団扉座)@座・高円寺を観てきました!


8月の『新・水滸伝』や10月の『ONE PIECE』、横内謙介さんが脚本を書いたスーパー歌舞伎スーパー歌舞伎Ⅱを立て続けに見て魅了された私は、横内さんが主宰し、脚本・演出をつとめる劇団扉座の公演も観に行くことにしました。



今回の公演は『いとしの儚(はかな)-100days love-』。もともとこのタイトルだったそうなのですが、これまでは『HAKANA』というタイトルのもとに上演されてきた作品なのだそうです。

主役の1人《鈴次郎(すずじろう)》は山中崇史さん。『相棒』の芹沢くんを演じていらっしゃる方です。(『相棒』も大好きなので、好きなもの同士が結び付いた感じで嬉しかったです。)

映像のお仕事がお忙しい中、山中さんが自ら「舞台がやりたい!」と横内さんに訴えたのだそう。そのことが、今回、この公演の企画が動き出したキッカケの一つのようです。


そして、もう1人の主役、鈴次郎の理想の女性として作られた《儚(はかな)》は、かつてグラビアやバラエティーの分野で大活躍されていたMEGUMIさん。



生の舞台を観に行く楽しみのひとつに、「演じ手の本気や情熱をひしひしと感じられる」ということがあると思います。今回のMEGUMIさんは、まさにそのような気迫に満ちていました。


突き飛ばされても、裏切られても、懸命に愛し、生きる。そして……。

始終、ひたむきな儚の姿に衝撃を受け、自分の愛や生、性のあり方を考えずにはいられませんでした。


他の登場人物も、キャラが立っていて(というより「アクが強くて」という表現が似合うかもしれない)、多種多様な演出も面白く、2時間があっという間でした。



見終わった直後は、「自分の好きなひとを一生懸命大切にしたい!」という気持ちで、何だか胸が熱くなっているような感じでした。(昔、『最終兵器彼女』という漫画を読んだときの読後感に少し似ています。)


そして、10/31(土)に見に行ってから数日経つ今も、ストーリーや設定の意味などに、しみじみと思いを馳せています。これだけ作品の余韻を味わっているというのは、自分として珍しいので、少し驚いていますし、だからこそ、このお芝居を皆さんにオススメしたいと思うのです。



ちなみに、、、

この作品には、R12の指定がかかっています。泣くのも笑うのも性との関わりは深いので、苦手という方は避けた方が良いかもしれません。


R12であることを考えても、現実にはなかなか難しいことなのでしょうが、私がお芝居を見ながら思ったのは、何とかこれを高校生の子たちに観たり演じたりしてもらえないだろうか、ということでした。

親から愛されなかった欠乏感。

自分が拒んでもなお愛してくる人の存在に対する複雑な感情。

自分の弱さや不安から相手を試し、傷付けてしまうこと。

露悪的な言動の奥に眠る、シンプルな想い。

そんな、うまく処理できない様々な感情は、思春期の子たちにこそ感じてもらいたいなぁー、なんて、思ったのですよ。



さて、そんな「いとしの儚」、11/8(日)までは高円寺、11/20(土)・21(日)には厚木で公演があります。ぜひ!