懸想文

国語講師 吉田裕子のエッセイ、歌舞伎観劇メモ、古典作品や長唄・端唄の現代語訳など

2016-01-01から1年間の記事一覧

2016年印象に残った歌舞伎、舞台、ドラマ、映画、ライブ

印象に残っている歌舞伎観劇10選。 1月:大阪松竹座(全体) 今年の観劇はじめでした。印象的だったのが、この座組のリーダー・片岡愛之助さんの魅力。朝からほぼ出ずっぱりでしたが、どの演目でも伸び伸びと演じられていて、実に輝いていらっしゃいまし…

THE YELLOW MONKEY SUPER メカラウロコ・27 日本武道館 セットリスト イエモン最高‼︎

THE YELLOW MONKEY SUPER メカラウロコ・27 日本武道館 セットリスト 1.MORALITY SLAVE2.DRASTIC HOLIDAY3.FAIRY LAND~電気じかけのナルシス4.SECOND CRY5.FINE FINE FINE6.VERMILION HANDS7.聖なる海とサンシャイン8.Four Seasons9.SHOCK HEARTS10.RED LIG…

中村屋 門出二人桃太郎記念 限定酒(大信州)が届きました

今日、こんなものが届きました。 中村屋 門出二人桃太郎記念 限定酒です。来年(2017年)2月、歌舞伎座の二月大歌舞伎で、中村勘太郎(波野七緒八)くん、中村長三郎(波野哲之)くんが初舞台をつとめることを記念したお酒ですネ。 www.kabuki-bito.jp こち…

長唄「岸の柳」 歌詞と現代語訳 ”筑波根の姿涼しき夏衣 若葉にかへし唄女が……”

長唄「岸の柳」 明治6(1873)年 作詞 柳屋梅彦 作曲 三代目 杵屋正次郎 【本調子】 筑波根(筑波嶺)の姿涼しき夏衣若葉にかへし唄女が緑の髪に風薫る柳の眉のながし目に その浅妻をもやひ船君に近江(掛詞:逢ふ身)と聞くさへ嬉ししめて音締めの三味線も 誰…

授業で『羅生門』を扱ったから感想を140字で書いてみた

タイトルの通りです。 一通り読んだ後、生徒達に感想を書いてもらおうことにしたのですが、あまり字数を多くすると、そのマス目を埋める方法論のほうに意識が向きそうな気がしたんです。 作文術を見たいというよりは、イマの高校生の率直で素朴な感想を聞い…

鎌倉三代記 絹川村閑居の場あらすじ・名ぜりふ 時姫(歌舞伎の三姫の一人)の決心

あらすじ 北条時政は坂本城攻めを開始した。一方、時政の娘・時姫は、坂本方の若武者の三浦之助義村と許嫁であって、絹川村で暮らす三浦の老母・長門をかいがいしく世話している。早くも嫁としての意識を強く持ち、時政からの使者が迎えに来ても戻らない。 …

歌舞伎 金閣寺(祇園祭礼信仰記)あらすじ・名ぜりふ 三姫のうち雪姫の活躍

あらすじ 松永大膳久秀は足利将軍に謀反を企て、将軍の母・慶寿院を金閣寺の二階に幽閉している。その天井に竜を描く話を口実とし、大膳は、雪舟の孫・雪姫をくどく。竜を描くか、自分の愛人になるか、と迫るが、雪姫にはすでに狩野之助直信という夫がある。…

本朝廿四孝あらすじ(十種香・奥庭=狐火を中心に) 歌舞伎の三姫 二十四孝の趣向 名台詞

あらすじ 武田信玄・上杉謙信は厳しく対立していたが、両家ともに、将軍・足利義晴暗殺の嫌疑をかけられる。そこで、三年間休戦して「真犯人を探し出せなかったら、子供の首を差し出す」とまで宣言する。しかし、真犯人は見付からず、武田勝頼・長尾景勝に切…

数十万円のライザップ申し込みを決心するまで

「カラーバス(color bath)効果」というものを皆さんはご存知だろうか。 「今日は赤を意識しよう」などと決めて一日を過ごすと、色が切り口になって、日ごろ注意していなかったものが、次々と目に飛び込んでくる現象のことだ。 隣家のガーデニングのすばら…

片岡秀太郎さん 上方歌舞伎にかける思い『上方のをんな:女方の歌舞伎譚(しばいばなし)』

上方のをんな: 女方の歌舞伎譚 作者: 片岡秀太郎 出版社/メーカー: アールズ出版 発売日: 2011/12/03 メディア: 単行本 クリック: 1回 この商品を含むブログ (2件) を見る 関西歌舞伎の低迷期の苦労話(今の片岡仁左衛門さんと、「歌舞伎がやりたい」と泣い…

四谷怪談を少し特別なスタイルで。【歌舞伎音楽家達による「四谷怪談」】@劇酒場 忠臣蔵

本日は、【歌舞伎音楽家達による「四谷怪談」】という企画にお邪魔してきました。 四谷怪談のお岩さんの人間ドラマの部分(死んで幽霊になる前の部分)を、ググッと1時間ほどにまとめての上演。 三味線は杵屋五七郎さん、唄は和歌山富朗さん。ベテランのおふ…

尾上右近さん「研の會」2016年8月6日 仮名手本忠臣蔵・船弁慶

尾上右近さんの勉強会「研の會」、初日を観に行きました。 「仮名手本忠臣蔵」の五段目・六段目を見るのは、尾上松也さんが勘平に挑戦した新春浅草歌舞伎(2015年)以来。 あのとき、斧定九郎を見て、坂東巳之助さんに一目惚れしたのでした。なんと、今…

仮名手本忠臣蔵 六段目、勘平の最期に直面した、お軽の母の嘆き

尾上右近さんの勉強会「研の會」を観に行きます♪仮名手本忠臣蔵の五段目・六段目に挑戦されるということで、手元にあった古典文学全集の浄瑠璃集を読み返しておりました。(歌舞伎と浄瑠璃では多少(?)、違ってはいるのですが……)浄瑠璃集 新編日本古典文学全…

端唄「香に迷う~御所車~」歌詞と現代語訳

端唄「香(か)に迷う~御所車(ごしょぐるま)~」 香に迷う 梅が軒端に匂い鳥花に逢瀬を待つ年(とせ)の明けて嬉しき懸想文(けそうぶみ)開く初音のはずかしくまだ解けかぬる薄氷雪に想いを深草の百夜も通う恋の闇君が情けを仮寝の床の枕片敷く夜もすが…

尾上右近さんの女形の美しさよ! 歌舞伎座 七月大歌舞伎 昼の部

2016年7月、歌舞伎座 昼の部のメインは、浪人から老中、大老格にまでのぼりつめた、出世の鬼 柳沢吉保を描く「柳影澤蛍火(やなぎかげさわのほたるび)」。ミーハーな感想としては、様々なこしらえ、役回りの尾上右近さんを観られたのが嬉しゅうございました…

中村梅枝さんの雲の絶間姫(『鳴神』)にときめいた松竹大歌舞伎 巡業 中央コース(府中の森芸術劇場)

松竹大歌舞伎 巡業 中央コースの2日目、府中の森芸術劇場(東京都)にお邪魔してきました。まずは、国立劇場歌舞伎鑑賞教室で磨き抜かれた中村萬太郎さんの流暢な「歌舞伎のみかた」。今回は、坂東亀寿さんも加わってますますパワーアップ。鳴り物の実演中…

市川染五郎さん初の巡業座頭(松竹大歌舞伎 東コース)

松竹大歌舞伎の染五郎さん 東コースの初日(江戸川区総合文化センター)に参りました。冒頭は、定式幕の前で、染五郎さんお一人でのスーツでのご挨拶。麺屋一燈のつけ麺についてなど、巡業公演らしくご当地ネタを盛り込みつつ、歌舞伎の歴史や演目の内容など…

端唄「鶴亀」歌詞と現代語訳

端唄「鶴亀」 庭の砂(いさご)は金銀の玉を連ねて敷妙(しきたえ)の五百重(いおえ)の錦や瑠璃の扉(とぼそ) 硨磲(しゃこ)の行桁(ゆきげた)瑪瑙(めのう)の橋池の汀(みぎは)の鶴亀は 蓬莱山も余所(よそ)ならず君の恵みぞ ありがたき 山河草木(…

端唄「春雨」歌詞と現代語訳

端唄「春雨」 春雨に しっぽり濡るる鶯の羽風に匂う 梅が香や花に戯れ しおらしや小鳥でさえも 一と筋に寝ぐら定めぬ 気は一つ わたしゃ鶯 主は梅やがて身まま気ままになるならばサァ 鶯宿梅じゃないかいな サァーサ なんでもよいわいな ※『はうた俗曲集 一…

端唄「梅にも春」(歌詞と現代語訳)

端唄「梅にも春」 梅にも春の色そえて若水汲みか 車井戸音もせわしき 鳥追いや朝日にしげき 人影を若しやと思う 恋の欲遠音(とおね)神楽や数とりの待つ辻占(つじうら)や鼠鳴き 逢うてうれしき 酒(ささ)機嫌こい茶が出来たら上がりゃんせ(ササもっとい…

国立劇場『魚屋宗五郎』 2016年6月歌舞伎鑑賞教室 中村橋之助さんの宗五郎、中村梅枝さんのおはま

6月の初日(6/2)は、中村梅枝さん見たさに国立劇場に行きました〜。 今月は歌舞伎鑑賞教室。中高生たちの文化教室に使われる企画ですが、席が空いていれば、一般の方も入れます。 11:00〜13:10(14:30〜16:40)と、コンパクトな公演。何と、お求めやすいお席は1…

安田靫彦展@東京国立近代美術館

東京国立近代美術館で開催されていた(〜2016/5/15)、安田靫彦展にお邪魔してきました。安田靫彦展ミーハーでお恥ずかしいのですが、日曜美術館 - NHKの「安田靫彦 澄み切った古を今に刻む」を拝見したのが、展覧会を見に行くキッカケです。90代まで描き続け…

好きな古典和歌3首と自詠3首

第二十二回 文学フリマ東京(2016.5.1 流通センター)に出店してまいりました。明日5/1(日)11時〜は文学フリマ@流通センター。セ-06で出店します。「山月記外伝」「こころ後日談」という二次創作2編を収めた『精選現代文 迷作編』(200円)と、短歌の本『裕…

矛盾に満ちている。だからこそ歌舞伎はおもしろい ―― 私が歌舞伎に惹かれる理由

男女問わず、ミステリアスな人間にはつい惹かれてしまう。謎めいた雰囲気が気になって近付いて行くのだが、近付いたところで、ちっとも分かりはしない。しかし、何とか分かりたくて近付き、手がかりを探す。手がかりを1つ、2つ……とかき集め、少しは分かっ…

花の成田山新勝寺 歌舞伎ゆかりの地であることを感じつつ、成田太鼓祭を満喫!

成田山新勝寺(千葉県成田市、真言宗智山派のお寺)を訪ねました。 平将門の乱(935年)が開山の契機という、実に1000年以上の長い歴史を持つお寺です。荒廃していた時期もあったようですが、江戸時代、江戸での出開帳*1で注目を集めて以降、国内屈指…

明治座 四月花形歌舞伎 昼の部 ~勘九郎&七之助&菊之助のタッグ~ 『葛の葉』『末広がり』『女殺油地獄』

明治座 四月花形歌舞伎の昼の部を観てまいりました。 www.kabuki-bito.jp 七之助さんが哀しくも美しい『葛の葉』(芦屋道満大内鑑 四段目)、 勘九郎さんの愛嬌と舞踊が活きる『末広がり』、 菊之助さんが上方のちょっと三枚目の色男に挑む『女殺油地獄』。 …

月窓寺の「花まつり」 お稚児行列を眺めに行きました

2016年4月3日(日)、吉祥寺の雲洞山 月窓寺*1で、花まつり*2が開催されるということで、覗きに行ってまいりました。 14時過ぎ、花まつりの開催を知らせる、花火の爆音*3が街に鳴り響き、 14時半~ お寺でのセレモニー(灌仏法要) 15時~ サンロード商店街の…

2「春日野は雪ふりつむと見しかども生ひたるものは若菜なりけり」(和泉式部集)

『和泉式部集』2番春日野は雪ふりつむと見しかども生ひたるものは若菜なりけり(かすがのはゆきふりつむとみしかどもおひたるものはわかななりけり)春日野 ー 奈良の春日野のこと。和泉式部が実際に目にした光景とは考えにくい。紀貫之「春日野の若菜摘みに…

4「春はただわが宿にのみ梅咲かばかれにし人も見にと来なまし」(和泉式部集)

『和泉式部集』4番春はただわが宿にのみ梅咲かばかれにし人も見にと来なまし(はるはただわがやどにのみうめさかばかれにしひともみにときなまし)宿 ー 家の歌語かれにし ー 「離れにし」と「枯れにし」の掛詞。訳す上では「離れにし」の意で、「梅」と「枯…

152「偲ぶべき人もなき身はあるうちにあはれあはれと言ひや置かまし」(和泉式部集)

『和泉式部集』152番世の中はかなかきこと聞きて偲ぶべき人もなき身はあるうちにあはれあはれと言ひや置かまし(しのぶべきひともなきみはあるうちにあはれあはれといひやおかまし)死んだって、偲んでくれそうな人もいないわたくしですから、生きているうち…