尾上右近さん「研の會」2016年8月6日 仮名手本忠臣蔵・船弁慶
尾上右近さんの勉強会「研の會」、初日を観に行きました。
「仮名手本忠臣蔵」の五段目・六段目を見るのは、尾上松也さんが勘平に挑戦した新春浅草歌舞伎(2015年)以来。
あのとき、斧定九郎を見て、坂東巳之助さんに一目惚れしたのでした。なんと、今日の斧定九郎はなんと市川染五郎さん……! ごちそうですねぇ。色気のある悪役、とてもお似合いでした。
この作品で勘平を演じた尾上右近さんの名演はもちろんなのですが、右近さんの三つのお役の中で一番印象に残ったのは、船弁慶の平知盛でした!
七月の歌舞伎座で、色気むんむんの織姫様とおさめさんを見せてくれた翌月に、あんな、気魄に満ちた平知盛を見せてくださるのだから、歌舞伎役者というものの振り幅よ!
最後、幕外での笛や締太鼓と真剣勝負をするかのような時間、濃密でした。その前の、染五郎さんの弁慶との戦いの緊迫感もまた良かったです。
こうした大役を演じながら、公演全体のプロデュースも(とっても忙しい本公演の合間に)やってしまうのだから、尾上右近さん(24歳!)はすごいなー、と。
なお、パンフレットには、昨年の舞台写真に、今回のこしらえでのスチール写真、さらには、尾上右近さん・中村米吉さん・中村種之助さんの楽しそうな座談会記事4ページ。
最終ページには、来年の研の會が、8/27・8/28に開催される旨の告知が! また一回り大きくなったけんけんの勇姿が楽しみですねぇ。
あと、ミーハーな若手役者ファンとしては忘れられない光景が、幕間の物販。
『仮名手本忠臣蔵』で、可憐なお軽をつとめ終えた中村米吉さんが、物販にお立ちになっていました。呼び込みも、おすすめも、お上手……! お買い上げのお客さんと記念撮影もなさっていました。
(わたくしは、大の米吉さん贔屓なのですが、逆に、勇気が出なくてダメでした(笑))
「研の會」いつも以上にしおらしく、はかないお軽を演じた米吉も光った。売店ではまるで自分の会みたいに売り子をずっと務めていて、ライバル同士の友情の厚さがうががえたのもファンにはたまらないだろう。義経を演じた鷹之資も奮闘。兄貴分たちの熱を感じさせるいい機会になったはず。
— てらぴー (@terapee0610) 2016年8月6日
六段目でおかるを演じた米吉さん。
— 亻ヶ夕“ (@raimeikoh) 2016年8月7日
休憩時間には物販コーナーで大活躍。
夫に売られてこうしております。
だってw pic.twitter.com/J7saZ543E6
休憩中に物販に来た孝太郎さんに、「孝太郎さん!全部買ってくれるんですか〜!?」とめっちゃ大きい声で言う米吉くんw それまでは、結構ロビーで他のお客さんに馴染んでた孝太郎さんやったけど、その一言で注目の的w 物販にお客さんがめっちゃ集まってくる、米吉くんの思惑通り笑 #研の會
— なつき (@natsuki1108) 2016年8月7日
◆◆追記
2日目の物販には、最近はドラマ収録でお忙しい中村隼人さんも駆けつけたそう……! この20代軍団が40歳前後になる頃が本当に楽しみです。
研の會終演後、右近くんと隼人くんのサインを貰いお会計へ~商売上手の米吉くんが『サインして名前も入れるから』と、タオルを売ってる。気がついたらタオル買い双蝶会のチラシも持たされていた(笑) pic.twitter.com/vdcMAyBaIy
— kaz (@mVgzz6p6Y7xJXXf) 2016年8月7日
◆◆皆様のご感想
『第二回 研の會』尾上右近 自主公演 感想まとめ - Togetterまとめ
仮名手本忠臣蔵 六段目、勘平の最期に直面した、お軽の母の嘆き
- 作者: 鳥越文蔵,大橋正叔,林久美子,長友千代治,黒石陽子,井上勝志
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「ヤアもう婿殿は死なしゃったか。さてもさても、世の中におれがような因果な者がまたとあろうか。親仁殿は死なしゃる。頼みに思う婿を先立て。いとし、かわいの娘には、生き別れ。年寄ったこの母が、一人残ってこれがマァ。なんと生きていらりょうぞ。コレ親仁殿与市兵衛殿、おれも一所に連れて行て下され」
と、取りついては泣き叫び、また立ち上がって、
「コレ婿殿、母もともに」
と縋りついては伏し沈み、あちらでは泣き、こちらでは泣き、わっとばかりにどうど伏し、声をはかりに嘆きしは、目も当てられぬ次第なり。
端唄「香に迷う~御所車~」歌詞と現代語訳
端唄「香(か)に迷う~御所車(ごしょぐるま)~」
香に迷う 梅が軒端に匂い鳥
花に逢瀬を待つ年(とせ)の
明けて嬉しき懸想文(けそうぶみ)
開く初音のはずかしく
まだ解けかぬる薄氷
雪に想いを深草の百夜も通う恋の闇
君が情けを仮寝の床の
枕片敷く夜もすがら
(現代語訳)
梅の香には心惑わされる
軒端に匂うのには鶯(匂い鳥)がつきもの
そんな梅の咲くころの逢瀬を待ち焦がれると
年が明けて 梅の時季
届いた文を開けるとそれは嬉しい恋文
鶯の初音ならぬ
あなたの初めての便りを
開くのは恥ずかしく
まだ打ち解けかねて心には薄氷が張っているよう
積もる雪のように深まる恋心
かの深草の少将を百夜も通い詰めさせた恋の闇
あなたが私にはかない情けをかけたその床で
衣片敷き独りで眠るの 夜もすがら