『源氏物語』五十四巻の一行要約 あらすじを把握したい方のために
『源氏物語』54帖を概観できるよう、各帖のあらすじを1行でまとめました。
- 桐壺 光源氏の誕生。母・桐壺更衣は帝のの他のきさき達からの嫉妬で病死。
- 帚木 光源氏17歳。ライバル頭中将らと恋愛談義。中流の人妻・空蝉との恋。
- 空蝉 空蝉宅に忍び込む光源氏だが、逃げられ、継娘・軒端荻を抱いて帰る。
- 夕顔 頭中将の元妻・夕顔と恋人になるが、夕顔は物の怪に襲われて急死。
- 若紫 初恋の人である義母・藤壺を妊娠させる。藤壺の姪・若紫を引き取る。
- 末摘花 頭中将と張り合いながら常陸宮の姫君を手に入れるが、不美人だった。
- 紅葉賀 父・桐壺帝と藤壺の子が誕生するが、実は光源氏との子である。
- 花宴 夜中、宮中で朧月夜と恋に落ちる。彼女が皇太子妃になる計画が破談。
- 葵 正妻葵上が男児出産。恋人の六条御息所の生霊で葵上急死。紫が妻に。
- 賢木 父・桐壺院が死に、藤壺は出家。朱雀帝の愛する朧月夜との関係が露見。
- 花散里 昔の恋人・花散里に会う。恋愛感情は最早ないが、話すと落ち着く存在。
- 須磨 朧月夜の件などで罰を受けそうになった光源氏は、自ら須磨に謹慎する。
- 明石 須磨から明石へ移動。滞在した家の娘・明石の君は光源氏の子を妊娠。
- 澪標 光源氏帰京。藤壺との子が冷泉帝として即位。明石の君が娘を出産。
- 蓬生 末摘花の家を偶然通りかかる。健気に自分を待ち続けた彼女に感動。
- 関屋 逢坂の関でたまたま空蝉と再会し、文を交換。夫の死後、空蝉は出家。
- 絵合 養女としていた六条御息所の娘が、頭中将娘と中宮の座を競い、勝利。
- 松風 明石の君が上京。三歳の娘を引き取って、正妻格の紫の上に育てさせる。
- 薄雲 藤壺が亡くなり、悲しむ光源氏。冷泉帝は自分の出生の秘密を知る。
- 朝顔 朝顔の宮に求婚。高貴な姫君なので、紫の上は自らの立場を不安視。
- 少女 長男夕霧と幼馴染み雲居雁の恋を、頭中将が引き裂く。六条院造営。
- 玉鬘 夕顔と頭中将の娘で、母の死後孤児となっていた玉鬘が光源氏養女に。
- 初音 六条院の華やかな正月。二条院には空蝉・末摘花を引き取っている。
- 胡蝶 玉鬘は多くの貴公子から恋文をもらう。光源氏も実は心惹かれている。
- 螢 異母弟・螢兵部卿宮に対し、蛍の光で玉鬘の姿を見させる演出をする。
- 常夏 和琴を習い始める玉鬘。一方、頭中将の娘、近江・雲居雁はだらしない。
- 篝火 玉鬘は親切な教育に感謝しているが、添い寝してくる光源氏には困惑。
- 野分 台風で壊れた六条院を見舞った夕霧は、義母・紫の上に一目惚れする。
- 行幸 玉鬘の境遇が実父・頭中将に知らされる。裳着の儀。冷泉帝の尚侍に。
- 藤袴 玉鬘の素性や出仕のことが知れて、玉鬘に求婚していた男達は戸惑う。
- 真木柱 強引に玉鬘を奪っていった髭黒。本妻が嫉妬に狂い、実家に帰る。
- 梅枝 明石の姫君が成長し、盛大な裳着の儀が開催される。
- 藤裏葉 夕霧たちの結婚が認められる。皇太子妃となる明石の姫君は実母と再会。
- 若菜上 女三の宮が光源氏に降嫁し、紫の上は動揺。柏木が女三の宮を垣間見る。
- 若菜下 紫の上が病み、光源氏は看病の日々。柏木が女三の宮を妊娠させる。
- 柏木 女三の宮は柏木の子である薫を産み、出家してしまう。柏木も衰弱死。
- 横笛 夕霧は、亡き柏木の妻・落葉宮から遺品の笛を預かり、光源氏に渡す。
- 鈴虫 出家した女三の宮の面倒も見る光源氏。冷泉院と対面し、感慨に浸る。
- 夕霧 夕霧は、落葉宮に惹かれていく。雲居雁は嫉妬で実家に帰ってしまう。
- 御法 紫の上の病は悪化。出家を希望するが、叶わないままに亡くなる。
- 幻 紫の上の死に悲嘆に暮れる光源氏。彼女の手紙も燃やし、出家を決意。(この後に「雲隠」。光源氏の死を暗示する巻名だけが伝えられ、本文が存在しない。)
- 匂宮 光源氏の死から時が経ち、子孫の時代へ。若き薫と匂宮が活躍する。
- 紅梅 頭中将の息子・紅梅大納言は、夕霧と張り合い、長女を皇太子妃に。
- 竹河 子だくさんな玉鬘。髭黒の死後、後見を欠いた息子・娘は苦労の日々。
- 橋姫 薫は仏道の縁で宇治の八の宮と知り合う。娘を垣間見て大君に惹かれる。
- 椎本 八の宮は「軽々しい結婚はするな」と遺言して死。姉妹を世話する薫。
- 総角 大君に迫り拒絶された薫。妹の中の君を匂宮に紹介する。大君は死ぬ。
- 早蕨 宇治だと遠くてなかなか会えないので、匂宮は中の君を京都に迎える。
- 宿木 薫が中の君に求愛するが、途中で断念。中の君は匂宮の子を産む。
- 東屋 中の君は薫に、異母妹の浮舟を紹介。薫は浮舟を宇治の隠し妻とする。
- 浮舟 匂宮も浮舟に通う。2人の板挟みに悩んだ浮舟は、入水自殺を図る。
- 蜻蛉 行方不明の浮舟の葬儀を行う。落ち込む2人だが、またすぐ恋に走る。
- 手習 浮舟は横川の僧都に助けられていた。男女の仲の煩わしさに出家をする。
- 夢浮橋 浮舟が尼になったことを知った薫は文を送るが、返事はなかった。
この1行要約は以前こちらの本を書いた際にまとめたものです。(絶版となってしまったようですが、中古でお求めいただくことができます。)
『源氏物語』は、それぞれの巻の情報量の差が大きいため、こうした企画のご提案をいただかない限り、自分で、各巻同じように要約することはなかったと思います。字数の制約が大きく大変でしたが、面白く、貴重な挑戦の経験でした。
なお、吉田裕子による『源氏物語』の入門講座はこちらにて。