【ネタばれ】ワンピース歌舞伎(スーパー歌舞伎Ⅱ『ONE PIECE』) サンジ・ボンクレーが評判 主演:市川猿之助さん
ワンピース歌舞伎、行ってまいりました!!
様々な挑戦を重ねるスーパー歌舞伎・スーパー歌舞伎Ⅱの中でも、今回の「ONE PIECE」は、大胆な挑戦の作品だと思うのです。
何と言っても、累計発行部数3億部を超える、少年マンガの中で最も人気のある作品なんですから……! 歌舞伎の公演が、歌舞伎ファンではない方々からもこれだけ注目を集めるということは、なかなかないように思います。
座頭の市川猿之助さんも、「賛否両論あってこそ本物」と語っていらっしゃいますが、出演者のお一人、市川笑野さんも、このようにおっしゃっています。
ワンピースを歌舞伎に移した事に賛否両論あると思う。しかし歌舞伎が今日まで現存している背景には民衆の力がある。江戸の頃から最新ニュースを取り上げた歌舞伎。今回スーパー歌舞伎Ⅱに取り上げ、世間の注目を集めるこの舞台は、ワンピースが現代人の心を揺さぶる力を持った作品である証拠だと思う。
— 市川笑野 (@emino331g) 2015, 10月 10
そんな挑戦作だからこそ、自分自身の目でできるだけ早めに目撃(この言葉が一番しっくり来ます)したくて、自分のスケジュールが合う限りで最速の、10/8(木)昼の部にお邪魔してきました。
以下、備忘録として、感想など。
※細かいところまでは目が行き届いていないかとは思いますが、それでも、色々とネタばれを含んでいるかと思いますので、新鮮に舞台をご覧になりたい方は、ご覧にならない方が良いかと存じます。
※原作は、15巻までしか読んでおらず、今回の舞台に当たる部分はまだ読んでいないため、原作をしっかり読んでいる方からすると違和感のあることも書いているかと存じますが、ご了承くださいませ。
十月昼の部は中村七之助さん、十月夜の部は中村勘九郎さんによるナレーションから、舞台は始まります。そして、シャボンディ諸島のオークションから、実際のお芝居がスタート。入札の声が、客席のいろんなところにあるスピーカーから聞こえ、早速、作品世界に巻き込まれていく感じがしました。
ここで、背中の刻印が奴隷の証であることを印象付けます。そこで売買の対象となる人魚ケイミー(市川猿珠さん)が実に儚く、美しい感じで、今回のこしらえの素晴らしさの片鱗を早くも見せ付けられました。
そして、ルフィを除いた麦わら一味が登場。
1階10列、花道横の席を取っていた自分に大感謝。麦わらの一味の初登場、最後尾のゾロ(巳之助さん)の真横で、息が止まった。。。ゾロとサンジとナミの名乗りの動画が公開されたら何百回と見たい。本当にサンジ 隼人くん、格好良い。 #ワンピース歌舞伎
— 吉田裕子(国語講師) (@infinity0105) 2015, 10月 8
最初の登場時、しばらく花道で止まるため、花道のすぐ横の皆さんからは、うっとりとため息。
ここからしばらくは、ウソップやロビンによる状況説明を挟みながらの進行でした。
新水滸伝で春猿さんにハマり、著書まで読んだ私に、このナミ&サンダーソニアの春猿さんはご褒美すぎる。片肌脱ぎ(巨乳だった(笑))での名乗りの格好良さ!! #ワンピース歌舞伎 >> 女づくり (徳間文庫) 徳間書店 http://t.co/OT1s1hi8UU
— 吉田裕子(国語講師) (@infinity0105) 2015, 10月 8
ゾロやサンジなどがほぼ原作通りのこしらえの中、着物姿のナミには、違和感を持った人も多いのでしょうが、私は、春猿さんの演じるナミが、とてもお気に入りのキャラクターになりました。きっぷのいい姉さん、という感じ。ご本人のお話の通りかと。
原作とは違うけれども、やはりナミだな、サンダーソニアだなというものが、どこか匂ってくるようにしなければいけない。そこは、女方の色々な技術を駆使して、乗り切っていくしかないだろうと思っています。(筋書より)
全編通して見た後でも鮮明に記憶に残っているお気に入りのシーンが、「白浪五人男」の鎌倉稲瀬川の場をもとにした、麦わらの一味の名乗りの場面。河竹黙阿弥のような七五調の名乗りが格好良い……!(チョッパーの腹話術(byウソップ)には笑ったけれど……!)
京都南座の三月花形歌舞伎(ゾロ 巳之助、サンジ 隼人らが出演)で、ちょうど、「白浪五人男」を観ていただけにテンションが上がりました。
(他にも、白ひげの最期は「義経千本桜 『碇知盛』」のイメージ。随所に、古典歌舞伎のエッセンスを感じられます。)
にしても、中村隼人さん演じるサンジが、とにかく格好良いのですよ。巳之助さんのゾロといい、隼人さんのサンジといい、やはり、原作に思い入れのある若いメンバーが、キャラクターの格好良さを体現しようと意気込む姿が、実に良かったです。
#池袋de隼人 05. #ワンピース歌舞伎 出演オファーは7月に猿之助さんからLINEで。最初は“ゾロ”と来たので「あぁ、ゾロなんだ…」と思ってイメージしていたら、1h後にまた猿之助さん「ごめん、間違った。“サンジ”でよろしく」と。サンジは大好きなキャラなので、とても嬉しかった。
— Kiyo#24 (@Kiyo_24) 2015, 10月 10
#池袋de隼人 06. サンジの境遇は歌舞伎とよく似ていると勝手に思っているんです。サンジには師匠がいる。普段優しさを見せないけれど、ある場面で不意に優しい言葉を掛ける。歌舞伎でも、師匠である先輩方は褒めない。「変じゃない」「大丈夫」と言われたらまずまず。先輩の8割方はそうでは?
— Kiyo#24 (@Kiyo_24) 2015, 10月 10
サンジがタバコの煙を吐き出す姿がいちいち格好良いのですが、イケメンの代表的しぐさ=お姫様抱っこの場面では、黄色い歓声が上がっていました(笑)
……と、お芝居の流れを追ってまとめていこうかと思っていたのですが、ここまでで全体の6分の1くらいで、膨大になってしまいそうなので、あとは全体的な印象などを(;'∀')
ニュースは、座頭たる市川猿之助さんの映像が中心に報じられていますが、舞台を見て印象に残ったのは若手のメンバーで、市川猿之助さんのルフィには最後の最後まで違和感の方が大きかったのです。
それは、ONE PIECEの原作自体への思い入れの違い(猿之助さんは原作を読んでいない)かもしれませんし、猿之助さんが後進のために見どころを譲ったからかもしれません。
そもそも、ONE PIECE原作のルフィという天真爛漫なキャラクターと、歌舞伎の演技の相性の問題かもしれません。(同じ猿之助さんが演じた女方のハンコックには、違和感が少なかったので……。)
早替わりも、プロジェクションマッピングの立ち回りも、1.5往復の斜め宙乗りもあったのに、なぜか座頭より、サンジ&イナズマ(隼人氏)、ゾロ&ボンクレー&スクアード(巳之助氏)、ナミ&サンダーソニア(春猿さん)、ジンベエ&黒ひげ(猿弥さん)ばかり思い出している。 #ワンピース歌舞伎
アマゾンリリーで宴を繰り広げるときのルフィに若干 鼻の下が伸びている感があった件(笑) 一方、昨日どなたかが「分別くさいルフィ」とおっしゃっていたのも少々 実感☆ そもそも原作からしてそうな気もするけど、ルフィは一味の個性を輝かせるポジションなのでは?感。 #ワンピース歌舞伎
何かとニュースの素材になっているゴムゴムの実のあれ、「え、そこで出てくるの!?」というところで出てきました。第一幕で途中退出しない限りは、あそこが最も印象に残ったシーンになることはない気がするなぁー。 #ワンピース歌舞伎
— 吉田裕子(国語講師) (@infinity0105) 2015, 10月 8
そんな出過ぎたことを書きつつも(猿之助さんファンの方、猿之助さんルフィが気に入っている方、すみません)、公演を重ねるにつれ、猿之助さんのルフィが覚醒することも楽しみで仕方ありません。
10月末にもう1度、そして、3月の大阪松竹座にも行く予定なので、期待に胸を膨らませております!!
全体は休憩(30分、25分)を含め4時間半以上あります。幕間はグッズ購入やお弁当(客席やロビー、事前予約をすれば食堂で食べられます)に当てると良いかと思います。
第1幕・第3幕には、少し間延びしていると感じた場面もありましたが、twitterなどで観劇レポートを見ている限り、それも、日を追うごとに改善されているようです。(日々進化するところも歌舞伎の舞台の面白さですね。)
とにかく! 第2幕の巳之助ボン・クレーと隼人イナズマ、そしてニュー・カマーの面々を見ていただきたい! 楽しい! そして格好良い!(本水での立ち回りは、事前に知っていても感激します。)
再現度が高すぎると評判の巳之助ボン・クレーと、サンジに続けてイケメン過ぎる隼人 イナズマを見ながら、新春浅草歌舞伎から追いかけ続けた2人のこの1年間での圧倒的な爆発に立ち会ったことに打ち震えた……! #ワンピース歌舞伎 pic.twitter.com/O6i8YIfa9J
— 吉田裕子(国語講師) (@infinity0105) 2015, 10月 8
ナチュラルボーンイケメン中村隼人くん。当初、「一般受けするイケメンだねー」というくらいしか印象がなかったのだけど、この1年観てきた中で、観るたびに、力強くなっている感じがする……! #ワンピース歌舞伎 pic.twitter.com/3WwOc6eabU
— 吉田裕子(国語講師) (@infinity0105) 2015, 10月 8
ボン・クレーの、あの、別れ際の名シーンもあります。原作ファンの人、あれだけでも観に来る価値ありだと思います #ワンピース歌舞伎 pic.twitter.com/pV4EREv23R
— 吉田裕子(国語講師) (@infinity0105) 2015, 10月 8
第1幕の名乗りと、第2幕と、第3幕のラスト、あと10回くらい見たい。本当に、隼人くんと巳之助くんをますます好きになる時間でした。この2人のファンになった皆さん、ぜひ、1月は新春浅草歌舞伎に❤︎ #ワンピース歌舞伎
RUAN/TETOTE(歌舞伎版「ワンピース」 主題歌) - YouTube
客席が一体となって、手拍子をしたり、歌ったりする。そんなワンシーンもありました。固定の大向こうさんが「◎◎屋!」と声をかけるだけの普段の歌舞伎とは、だいぶ違う感覚で、とても楽しいです。
歌舞伎のジャンルに、「荒事」「和事」と同じように、「スーパー歌舞伎」が刻まれていくことが楽しみです。
そして。市川染五郎さん・中村勘九郎さん・中村七之助さんの挑戦「歌舞伎NEXT」も。
#ワンピース歌舞伎 を観に行って、改めて、#阿弖流為 の衝撃を思い出した。ぜひ関西の方には、松竹座の阿弖流為を目撃して欲しい。迫力を体感して欲しい。
— 吉田裕子(国語講師) (@infinity0105) 2015, 10月 8