坂東玉三郎さんが評判の「阿古屋」、十月の歌舞伎座 夜の部(芸術祭十月大歌舞伎)
「阿古屋(壇浦兜軍記)」を演じるんだと決意をしておかなければ、琴、三味線、胡弓の3種類をああして弾きこなすことは難しいわけで、、、毎月のお芝居で忙しい中、楽器の鍛練を重ねている坂東玉三郎さんを改めて尊敬せずにはいられない作品。
— 吉田裕子(国語講師) (@infinity0105) 2015, 10月 4
胡弓(こきゅう)の音色を歌舞伎で耳にするのは新鮮で、その音色がまたお話にも合う切ない感じで、うっとりと聞き惚れておりました。
玉三郎さんだって、もう65歳なわけですけど、この演目を継ぐのは誰なのでしょうか。ここで途絶えてしまうのでしょうか。……ということを、勝手に心配してしまうわけです。
九月の「伽羅先代萩」政岡といい、今回の「阿古屋」といい、中堅・若手に向け、「この高みまで来てみなさい!」と背中で語るような、並々ならぬ気迫を感じました。
個人的には、中村七之助さんや中村梅枝さんが、そうした大役を堂々と演じる日が楽しみです。
それ以外で思ったことをつらつらと。
阿古屋。尾上菊之助さんの重厚な重忠も素敵だった。先月、女方として拝見した役者さんを、こうして線の太い役回りで見られるのは面白いね。
— 吉田裕子(国語講師) (@infinity0105) 2015, 10月 4
今日の阿古屋なんかは、国立劇場の歌舞伎鑑賞教室みたいに、始まる前に2〜3分のレクチャーを挟むだけで、だいぶ客席のリアクションが違うと思うんだけどな〜。
そんなの要らないファンの方が多いのも分かる。でも、今日もツアー旅行の団体さんが来ていたし。。。開場から開演までが短いし、トイレは混むし、筋書きを買っても事前に目を通せないことも多い。
お分かりの方には、「何をいまさら」の無粋ななんだと思うのですが、周囲を見渡す限り、あの音色は玉三郎さん自ら弾いていらっしゃるのだということでさえ、知らないままお帰りの方も一定数いるように感じました(^^;;
髪結新三。尾上松緑さんの新三と、坂東亀寿さんの勝奴は、何だかとても爽やかで行儀が良い感じだった。小悪党なのに……(笑)
— 吉田裕子(国語講師) (@infinity0105) 2015, 10月 4
時代がかった橋之助さんの風格だと、「”小”悪党」という感じはあまりしなくて、お行儀の良い松緑さんの新三だと、江戸庶民の生活を写実的に描いた「生世話物(きぜわもの)」の風情は薄いように感じました。
そうした本人の生来の性質があった上で、演技でどう見せていくのか、がこれからの腕の見せ所なのでしょうね。(きっと、月初と月末でも、印象は違うのでしょう!)
なお、坂東亀寿さんの勝奴は「新三の弟分」のはずですが、新三を食わんばかりの存在感でした(笑)
全体として、二世尾上松緑さんの追善公演ということもあり、ちょっと変わった配役だったんですよね。尾上菊五郎さんが「鰹売り」として登場する趣向には、会場も温かく盛り上がりました〜。
個人的には、亀寿さんには人の善い感じにぴったりな、手代の忠七あたりで見たかったな☆ 追善、そして今の松緑さんの初挑戦を見守る意味で、菊五郎さん・仁左衛門さんが一瞬の脇役で出ていらっしゃるし、見ていて何だか落ち着かない配役(笑)
— 吉田裕子(国語講師) (@infinity0105) October 4, 2015
一瞬だけ出てみえる片岡仁左衛門さん、背が高くて、背筋がしゃんとして、格好良かったー(^o^)/
— 吉田裕子(国語講師) (@infinity0105) October 4, 2015
今回の「髪結新三」では、中村梅枝さんのお熊が大好きでした。安定した発声で、台詞も聞きやすいし、とっても綺麗。市川左團次さんの長兵衛、尾上左近くんの丁稚長松の場面は、会場があたたかく1つになりました(^O^)
— 吉田裕子(国語講師) (@infinity0105) 2015, 10月 4
最後に、今月 夜の部を観に行く方にお知らせしておきたいのが上演時間。
にしても、40分の幕間も、「髪結新三」の休憩無し2時間ぶっ通し上演も、長く感じたな……個人的に、他のどの会場よりも、歌舞伎座の三階席は窮屈に感じるので、辛かったです。
— 吉田裕子(国語講師) (@infinity0105) 2015, 10月 4
阿古屋 16:30-17:47
幕間 40分間
髪結新三(途中休憩なし) 18:27-20:46
という上演時間なのですよー。
中の食堂をご予約されている方だと、40分間の幕間でちょうど良いくらいかと思いますが……。お弁当持ち込み(かつ、三階席の列の真ん中の席で、横の方に1度立っていただかなくてはいけない気兼ねから、出入りしにくい状態)だった私には、大変長く感じました(^^;;
「髪結新三」も2時間以上続くので、お手洗いが近くならないよう、気を付けた方が良いかと存じます。一幕見席で「髪結新三」がもし立ち見になってしまったら、なかなか立ちっ放しは大変かもしれません……