【リード文】次の文章は『住吉物語』の一節で、主人公の姫君が、やむを得ぬ事情によりひそかに父中納言の家を脱け出して住吉の浦(住の江)へ下ったところである。 【本文冒頭】住吉には、やうやう冬ごもれるままに、いとさびしさまさりて…… 【素材文(『住…
夏色に染まりたる空かすみゆく やさしく夜を迎えなんとす(なついろにそまりたるそらかすみゆく やさしくよるをむかえなんとす) 夏の空というと、ふつう、こんなイメージ。 でも、夕方が近付くにつれ、空の色がやわらかくなっていくような気がする。 少し優し…
演劇界 2015年 09 月号 [雑誌] 出版社/メーカー: 小学館 発売日: 2015/08/05 メディア: 雑誌 この商品を含むブログを見る 今月号は、巻頭に、坂東玉三郎さんのインタビュー(聞き手は、TBSアナウンサー 安東弘樹さん)。65歳になられてもなお、匂い立つ美し…
「伝統は、たちどまらない。」東山線の駅で見かけた愛知淑徳大学のキャッチコピーが、妙に心に響く中、向かったのは名古屋の栄、中日劇場です。 地球投五郎宇宙荒事(ちきゅうなげごろううちゅうのあらごと) 地球投五郎 … 市川 海老蔵 駄足米太夫 … 中村 獅…
7月31日(金)@北とぴあの「松竹大歌舞伎(巡業 東コース)」を観てきました。「中村翫雀改め 四代目 中村鴈治郎襲名披露」の公演なのですが、中村壱太郎さんと中村虎之介さんばかり見つめてしまいました。 双蝶々曲輪日記 「引窓(ひきまど)」 南与兵衛後に…
現代文や小論文の指導をしていて嬉しいのが、幅広い文章に触れられること。今日は、慶應義塾大文学部の小論文(2011年)の素材文が面白くて、幸せでした。 日本的感性―触覚とずらしの構造 (中公新書) 作者: 佐々木健一 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日…
夢中にて走り抜けたる夏の日が夢でありきと後に知りなむ(むちゅうにてはしりぬけたるなつのひがゆめでありきとのちにしりなん)高校野球が好きだ。プロ野球も好きなのだけど、高校野球、その中でも夏の高校野球、甲子園には特別なものを感じてしまう。教え子…
行く末の心もとなさ分け持ちてただ寝汚く眠らるる冬(ゆくすえのこころもとなさわけもちてただいぎたなくねむらるるふゆ)フリーランスになった1年目のころ、仕事といえば、夕方からの塾や家庭教師だけ。書き物の仕事も特にしていなかったので、(今思えば)毎…